みや

スパイラル:ソウ オールリセットのみやのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

署内で煙たがられる刑事ジークと新人パートナーのシェンクは、同僚が被害に遭った猟奇殺人事件を担当することになる。亡きジグ・ソウの模倣犯が殺戮ゲームを仕掛けるのは、腐りきった警察官ばかり。殺人鬼の居場所を追う中で、ジークは署内に蔓延る闇へ吞み込まれていく。

『ソウ』シリーズ9作目。ここまでは全て鑑賞済で、5以外はどれも好き。
今回の犯人はあくまでもジグ・ソウの模倣犯なのでゲームを行う動機は俗っぽいし、主人公も被害者たちも同じ署の刑事だから全体の雰囲気が警察物ミステリみたい。そこに殺戮ゲームが挿入されるといった感じ。今までのシリーズとはまた違うテイストで「オールリセット」の名に相応しい。こういうのも好き。「こんなのソウじゃないよ!」より「こういうソウもあるのか!」という価値観で生きていきたい。

主人公のジークは口も態度も悪くて怒鳴りっぱなし、美人署長はベテラン刑事と問題児に挟まれて喚き散らし、前半はずっと耳が煩い。警察署が一番治安悪いじゃん、と思っていたら正にその通りだった。観ていくとジークはパパが大好きな熱血漢なだけと分かり、ちょっとずつ好感度が増していく。最後は自然と応援していた。明らかに怪しい倉庫で背後を気にせず電話したり、家の鍵をドア桟の上に置いたり、運転しながら写真をボーっと見つめたり、ジークも同僚たちも刑事にしては不用心すぎない?
柔和で空気が読めてかっこいい新人シェンクは優男っぽいのに、ジークが売人から情報を得ようと暴力を奮っていても止めたり嫌な顔したりせずに受け流す。実はこいつもなかなかな奴じゃん、と思っていたら本当に大層な奴だった。シンプルに好き。

犯人はそこそこ早い段階であからさまに怪しく描かれるので誰しもが気付くだろうから、そこは一番の驚きポイントとして設定されていないのだと思う。じゃあどこなんだって言われると悩むけれど、最後にジークがどっちを選ぶのかは全く想像がつかなくて一緒にハラハラできたので、あそこだったのかも。父が撃たれる姿を見た青年が、父が撃たれる姿を相棒にしてくれなかった相手に見せる。長年ずっと「シー」と自分を守ってくれたジークを信じ続けて、そのために頑張り続けてきたから、裏切られた気持ちが強いんだろうなあ。ジークもシェンクも生き延びたから今後の出演に期待。

今回も変わらずスプラッターとしても非常に良き。拷問ゲームがどれも素晴らしい。嘘吐きの刑事は舌を挟まれて線路上に吊るされ、無実の相手を射殺した刑事は指を引っこ抜かないと水中で感電し、部下の罪を隠蔽した刑事は顔面に煮えたぎる蝋が落ちて窒息し、アル中に陥った刑事は大量の硝子の破片が強風で全身に飛来する。罪とゲームにちゃんと繋がりがあるところが好き。クリアの難易度が高すぎるのは、贖罪よりも復讐の意識が強いからなのかも。
痛みか死か、自分だったらどちらを選ぶだろう?苦しみ叫ぶ姿が皆さま最高に良かったので、今なら迷わず死を選びそうだけれど、選んだとしても時間をかけて殺されていくからしんどい。「ソウⅩ」が今から楽しみ!
みや

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