踊る猫

わたしはロランスの踊る猫のレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
3.5
微妙なものを感じてしまう。この映画を高く買えない。愚直過ぎるカメラワーク(あたかも、被写体をポンと置いてそれを撮れば映画になる、とでも思っているかのような)、伏線もなにもあったものではないストーリー展開、斬新なようでありながら結局は野暮ったい演出、そしてあまりにも多用される音楽……だが、これらはこれまで観て来た映画と対比させて欠如していることが明らかになるのであって、逆算すればこの映画の欠如はある種の才能とも見て取れる(そのあたり、作風は全く異なるのだが北野武の異物感にも似たものを感じた)。パッションに裏打ちされたストーリーは愛し合うふたりの十年間の波瀾万丈を『ベティ・ブルー』ばりに描き切る。その「熱」を伝えたいという気持ちは見事という他ない。だが、肝腎な部分は音楽ではなく台詞で語って欲しい。あるいはこの監督は観客の「情」の力を信じているからなのかもしれないのだが……?
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