ふしみあい

アフターショックのふしみあいのレビュー・感想・評価

アフターショック(2012年製作の映画)
4.0
クラブで出会った男女6人がチリで観光中、大地震に襲われる!一瞬にして阿鼻叫喚の地獄と化したチリ、さらに津波が来るとサイレンが鳴り響く。高いところへ逃げようと右往左往しているうちに、騒ぎに乗じて脱獄した囚人たちによって街は無法地帯へと化していく…。

今作の魅力はあらすじそのままなところ!そして容赦ない人間描写。人間の汚いところも良いところもきちんと描写されている。

自分主演の自分監督というと、自分をよく描いてしまいがちな映画が多い。しかしイーライ・ロス、とことん情けない!口説き方もなよっちいし、いざという時に行動できない。しかし壮絶すぎる最後の刹那、なけなしの勇気を振り絞って投げつけるあの石、胸が痛くなる。
そのほかの登場人物のどの場面においても、本当に追い詰められた状況における人間の行動というのが、良いも悪いもなくフラットな視点で描かれているような気がする。「アフターショック」最後の最後に映像によって魅せる秀逸なタイトル回収。人間の細々とした争いやいざこざ、全ては自然の脅威の前では脆く、無に等しい。

でもそれにしてもキャラにあんまり魅力がないというか、誰一人として好きになれない、、、とこもこの映画の魅力。名前のつけ方が独特。ポヨて、、、、主人公に至ってはグリンゴ。あと血糊の量が半端ない。

しかしB級映画のはずなのに撮影とかめちゃ格好いいし、チリの観光シーンとかチリ政府がお金出してPR用に撮らせたんじゃないかってぐらいのレベル。ぼかし方とか俳優の表情の切り取り方とか空撮とかすごい。
後半、ほとんど都合よく余震で解決してしまうところが少し残念だったけれど、設定や最後まで先が読めない展開にドキドキしっぱなしだった。

圧倒的な人間描写だからこそ生まれるブラックな笑い。アリエルの腕の一連のシークエンスは笑いしかないけれど、手のとれる過程とかみんなのパニック感とか確かにそんな状況じゃあ冷静では居られないよね、っていうのがよくわかる。

パニック映画というくくりの中で、めちゃくちゃしっかりした作り&見せ方をしてくる。ただのお馬鹿ムービーじゃない、アフターショック!