アニマル泉

鉛の墓標のアニマル泉のレビュー・感想・評価

鉛の墓標(1964年製作の映画)
4.5
B級精神溢れる若松孝二のシャープなアクション映画。野上正義のデビュー作。「組織と殺し屋」の物語だ。冒頭、縦構図の道を野上が警官に肩を撃たれながら逃げる、車の下に入る、地面すれすれのローアングルで警官の足が去る、ホッとすると車から足が降りてタバコを踏み消す、出てこい!痺れるワンカットだ。
カット数が少ない。巧みなステージングや鏡などでなるべく芝居を長く撮っている。低予算ならではのB級精神が素晴らしい。
「水」は若松の主題だ。バスタブで女を溺死させる。ラストは海だ。海岸に対峙する野上と久美のパラのロングショット、そのワンカットで野上が久美を撃つ、痺れた。決定的ショットである。
目のクローズアップも多用される。大胆なロングとクローズアップの極端なサイズのモンタージュでリズムが作られる。
若松作品の男たちはマザコンだ。本作のトップシーンは母が米兵に強姦されて絞殺されるのを見ていた野上少年が熊手で米兵を刺し殺す。ママになる女は救うのが殺し屋野上の唯一のポリシーだが
無惨な結末を迎える。
久美の強姦場面、レゲエのレコードとカットバックされる。なかなか斬新だが何故レゲエのレコードがかかっていたのか?誰の趣味?謎である。
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