未島夏

ゼロ・グラビティの未島夏のネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

『この世は生きるに値する』と言ったのは『風立ちぬ』の頃の宮崎駿監督か。



本作はライアンとマットの二人を通じ「魂の解放」を描く。

宇宙空間での孤立による地上の辛い過去からの解放。

地上への帰還を目指す事で生きる意思を取り戻し、過去を克服した事による孤独からの解放。

孤独を欲したライアンが孤独から脱する迄の変化が「魂の解放」の描写で繋がる。



並行して、地上が「生きるに値する」かも描かれる。

ライアンがISSに入り宇宙服を脱いで取るポーズは胎児の様で、地上の海に着陸し水面へ泳ぐ様子と併せて生命の誕生を想起する。

後の戦火を避けられぬ世に「産まれ落ちた」ライアンは、落ち行く衛星の破片を背に大地を踏む。

そんな彼女を太陽が照らすラストは、世情に揺るがぬ生命の価値を讃えているのではないか。
未島夏

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