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ゼロ・グラビティのtjZeroのレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.0
大気圏外で船外活動中のNASAのクルー達に、破壊されたロシアの人工衛星の破片が襲いかかる。
独り残されたライアン(サンドラ・ブロック)は地球に帰還できるのか…。

難病の映画を観て、健康のありがたさを感じることがある。
本作はそれよりももっと普段意識しない、重力とか酸素のありがたみを強烈に感じさせてくれる。
その状況の過酷さは、孤島に隔絶される『キャスト・アウェイ』がパラダイスに思えてくるほど。
あちらには、重力も酸素も、あったかい温度も食料もあったもんねえ。

”眼に見えないものを見せる”という意味では、ヒロインのライアンが気力を振り絞る際の、亡き娘や頼りになる同僚マット(ジョージ・クルーニ―)へのあつい想いが手にとる様に感じられるのがすぐれた所。
その、眼に見えないはずの精神のチカラが、無重力や無酸素、極低温といった過酷なシチュエーションに抗い、地球への帰還を後押しする”逆噴射”となる。
それがあればこそ、前半では受け身でオロオロしどうしだった彼女が、後半ではみるみるたくましくなり、より悲惨な状況にも果敢に立ち向かうので観ている方のテンションや共感も上がりまくり。

演じるサンドラ・ブロックにも拍手。
『キャスト・アウェイ』のトム・ハンクスと同じく、ほぼ全編ひとり芝居。
独り言やアクションだけで、長丁場を持たせたパフォーマンスは称賛もの。
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