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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのkazu1961のレビュー・感想・評価

4.4
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-561
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-592

🖋ほんと凄い作品でした。。。1970年代のヨーロッパ映画を代表するシャンタル・アケルマン監督のミニマリズムの傑作と言われながらも、観る側に大きな忍耐を要求する(なんせ主人公の女性の3日間を200分見せられますから。。。)作品だったため、名作映画の主流から外されてしまったという作品。

🖋️本作、タイトルになっている主人公ジャンヌ(デルフィーヌ・セリッグ)の3日間の日常を辿った作品、主人公は夫を亡くし、息子との生活を支えるために、時折身体を売っている。。。作品の3時間余りがその単調な日常を緻密に描いています。居間、寝室、キッチン、固定カメラでのロングショットでいかにも主人公を盗撮してるような感覚に陥ります。食事を作り、着替えて、買い物に行き、入浴、バスルームの掃除、赤ちゃんを預かり、夕食を作り、息子と食事、散歩して。。。このルーティンワークをずっと観てる段階でもう釘付けになってしまいます。

🖋️そして2日目の後半あたりから少しずつ主人公に変調が。。。食事を焦がしたり、物を落としたり、必要に預かった赤ちゃんをあやしたり。。。3日間同じルーティンを精緻にみるのでその変化が怖いくらいに観る者に伝わってきます。そう、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出しているんですね。。。

🖋️そして驚愕のエンディング。。。ラスト20分のための3時間だったことがようやく分かりました。自我を持たない主人公がフラストレーションを溜めたその結果は。。。

🖋️そしてその日常の些細な変化を顔の表情も含め精緻な演技を魅せてくれるデルフィーヌ・セイリグは圧巻!!

🖋️シャンタル・アケルマン監督曰く、「時間が過ぎ行くのを感じさせるのは映画において最も大切なことのひとつだ」と。本作を観てその深い意味がよく分かります。

😨Story:(参考: 公式サイト)
ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ、“平凡な”暮らしを続けているジャンヌだったが……。

🔸Database🔸
・邦題 :『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』
・原題 :『Jeanne Dielman, 23, quai du commerce, 1080 Bruxelles』
・製作国 : ベルギー・フランス
・初公開 : 1975
・日本公開: 2022/04/30
・上映時間: 200分
・受賞 : ※※※
・監督 : シャンタル・アケルマン
・脚本 : シャンタル・アケルマン
・原作 : ※※※
・撮影 : バベット・マンゴルト
・音楽 :
・出演 : デルフィーヌ・セリッグ

🔸Overview (映画. com)
女性たちの社会や日常での生き方を真摯に見つめる作品を多く残したベルギーの女性監督シャンタル・アケルマンが、主婦のフラストレーションとディテールを丁寧に汲み取りながら、平凡な日常に綻びが生じていく様子を追った傑作ドラマ。ジャンヌはブリュッセルのアパートで、思春期の息子と2人きりで暮らしている。湯を沸かし、じゃがいもの皮をむき、買い物へ出かけ、“平凡な”生活を送る彼女だったが……。主演は「去年マリエンバートで」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」のデルフィーヌ・セイリグ。「シャンタル・アケルマン映画祭」(2022年4月29日~5月12日、ヒューマントラストシネマ渋谷)上映作品。
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