けんたろう

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのけんたろうのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

機械のバグ。


決められた時間に決められた場所で決められた事を行ふ、たゞ其の繰り返し。機械的で単調なる、狂ほしきほど気怠き日常。代はり映えなどは微塵もせず。只々、時を過ごしたり……う、うがが、うがががが……は、発狂しさうになるわ! 一体何んだ此の腹立たしくも、遣る瀬なき日々は!

さて、英国映画協会が十年ごとに発表してをる「The Greatest Films of All Time」の二〇二二年版で、其れまで殆ど無名だつたにも拘らず、いきなり彼の『市民ケーン』や『東京物語』を抑へて見事一位に輝いた本作。有り体に申せば、タイトルと上映時間がやけに長いといふのだけが、私しの持つてゐた印象である。
而して、いざ実際に観てみると、予想を遥かに超ゆる怠さ。たゞ其の怠さこそ、彼女の演出であらん。詰まるところ、ぽんぽんぽんぽんテンポよく進むカツト割りと、物静かで狂気的なる長回しとに依りて、一刻一刻変化をしつゞくる時の流れと、にも拘らず一向に変化をせない我々の日々とが、如実に描かれたり。嗚呼、全く。此のクソ怠いフイルムに描写せらるゝ彼女の姿は、日々をたゞ送りつゞくることしか出来ぬ我々の姿と殆ど同じではないか。

其んなゝか最も印象深かつたのは、一瞬一瞬が新鮮な赤ちやんとの対比である。黙々と過ごしたる大人と、最早や絶叫に近い泣き叫び声を上ぐる赤ちやん。迚も尋常ではない。耳にこびりつく、ほゞ恐怖のシインである。

さて、物語りは一体何うなるのか。彼女は果たして


────打破!!!!!