Hiiiraiii

青天の霹靂のHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

青天の霹靂(2013年製作の映画)
3.4
2014.5.29 TOHOCINEMAS六本木

自身の小説を脚本・監督・役者としてこなした劇団ひとりの第一回監督作品。

父親の浮気がキッカケで母親が家を出たと聞かされ育った晴夫は母親の顔さえもしらない。そんな両親を恨んで生きてきた晴夫の元に長年連絡のとっていない父親の訃報が届く。そして河川敷で住んでいたと思われる父親の遺品の中に一枚の古ぼけた写真を発見する。そこには笑顔の父と生まれたばかりの自分。『なんでこんな写真大切に持ってんだよ…』その時、晴天の中、突然カミナリに打たれ自分が生まれる前の両親の元にタイムスリップするのだった。

良くできた人情劇であり芸人監督という先入観を持ってしても整理されたドラマの展開にきちんと感情が揺さぶられる。過度な笑いさえ求めず過剰な感動も求めない。淡々とした作風にぽっと挿入される家族の愛の物語に劇団ひとりという監督の才能の高さが伺えた。無駄な要素もなく96分にまとめられこの物語の構造はよくあるといえばある人情タイムトラベル映画ではあるが『素晴らしき哉、人生』に代表される様に日常あまり感じる事の無い普遍的な家族の愛の形の素晴らしさを嫌らしくなく清々しく謳いあげている。

音楽シーンの少なさが顕著でそれでも高ぶって行く展開を味わえ感心していたが流石に核心のシーンで流れてしまうありきたりの音楽の使い方には少しがっかり。少し尻窄みな印象を感じるラストの展開も個人的にはもう少し見たかった気がしました。

古き良き家族にまつわる映画を芸人監督が作る意味はあまり感じられないにせよ一本の映画としてみた時に良質な部類に入る日本映画だと思いますよ。
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