Hiiiraiii

幕が上がるのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

幕が上がる(2015年製作の映画)
-
2015.3.1 TOHOCINEMAS六本木

傑作アイドル青春映画。

国民的アイドルの地位に登りつめたといっても過言ではない【ももいろクローバーZ】主演のこのアイドル映画は原作・平田オリザ、脚本・喜安浩平、監督・本広克行という十分すぎるメンツが揃った作品。

近年の本広作品には全くピンとこない私ではあるが初期『踊る大捜査線』シリーズや『7月7日、晴れ』が好きな私にとって本作の本広作品は久しぶりに胸が高ぶった。

モノ創りの魔力というものが芸術職には必ずある。その魔力に取り憑かれた私自身もそうだが無から有を作り上げていく過程に最大の興奮を覚える。その興奮は時に寝食を忘れさせ対価となるお金という部分にさえ無頓着になったりするほどだ。そのモノ創りの魔力を清い時代に体験するこの純情な青春物語にこそモノ創りの真の本質が垣間見える。本当はこの子たちの様な純情の精神をもってモノ創りに携わり続けたい。でも実際はそんな簡単なことではない。そんなアンバランスな感情を持ちながら鑑賞してしまったがこの映画単体として見ると十分なモノ創り賛美な青春映画としては最大限の評価をしたい。

皆さんに知ってもらいたい事があるので書いておくが、原作の平田オリザの過去の発言にこれまでの演劇界における労使の実情を言い表した言葉がある。

「演劇は青春に頼らざるを得ないところがあるわけですよ。要するに、劇団はそれ単体では原理的に金にならないから、若い人たちをだまさない限り絶対に存続しない。いつもずーっと文化大革命しているようなもんだから。「毛沢東だ!」って言って若者をついてこさせないといけない」

映像業界も結局はこれに近い状態にある。ようは、【やりがいの搾取】なのだ。こんなにも素晴らしい青春映画をみてふと、こんなひねくれた事を考えてしまった自分が情けないがこれが結構大事だったりするのだ。

映画とは直接関係ないけれどこの素晴らしき青春の裏側にあるものもしっかり知ってほしい。見て見ぬふりをしている部分が絶対的にあり芸術職に携わっている人こそ考えてほしいのだ。

だいぶ映画とはまったく関係ない話になってしまったが、この青春映画はアイドルグループの今の美しさを切り取った貴重な映画であり男が介在しない純な物語である。主演のももクロ5人の純情な姿に感動しそれを支える黒木華の名演も見逃すことは許されませんよ。ぜひ劇場で青春を体験してくださいね。
Hiiiraiii

Hiiiraiii