Hiiiraiii

フォックスキャッチャーのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
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2015.2.21 渋谷シネマライズ

『カポーティ』『マネーボール』のベネット・ミラー監督の新作はアメリカの名門企業デュポン社の御曹司がオリンピック金メダリストを射殺した実話を基にしたドラマ。これでベネット・ミラーは長編作品3作ともアカデミー賞作品賞候補となりその全てが実話をベースにした社会派作品を生み出す監督でも知られている。

静かな狂気が充満しその緊張の糸が切れた時に事件は起こる。主演のスティーブ・カレルの鬼気迫る演技は十分の評価を受けておりまた、助演の肉体派のイメージが先行するチャニング・テイタムとマーヴル映画のハルクで一躍有名になったマーク・ラファロの演技も素晴らしい。この三人の芝居を堪能するだけでも1800円の価値は十分あるのだ。

この映画は名声を持つものの孤独と歪んだ友情の歯車が狂っていく過程を繊細に追ったドラマ。御曹司であり名声を持つもののが母親から自立できない孤独と金メダリストでありながら兄から自立できない男の孤独が互いに惹かれあい異質な友情を生む。この異質な友情は関係性の薄さから壊れていくことは容易に想像ができその先に生まれる狂気を感じずにはいられない。その徐々に起こる崩壊を目の当たりにしながら孤独の裏側にある恐怖について考えさせられるのだ。

どうでもいいけど、この映画でみんなが着ているトレーナーが欲しいです。
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