Hiiiraiii

アメリカン・スナイパーのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
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2015.2.21 TOHOCINEMAS六本木

多作でありながら質の高い映画を作り続けるクリント・イーストウッドの新作は米国軍事史上最高の狙撃手と称えられ、敵から「ラマディの悪魔」と恐れられたクリス・カイルの伝記映画である。この監督の作品をリアルタイムで出会える喜びは格別であり84歳の高齢の為その一本一本を追わない事は映画好き以外でももったいない。一食抜いてでも彼の作品を映画館で見るべきだ。

緊張感を強いる予告は皆さんは一度は見ているだろう。その予告以上の緊張感が流れるこの映画をみて戦争賛美だなんだと本国アメリカでは論争になったそうだがこの映画が反戦映画である事は見ていればわかる。しかしヒロイックな印象を与える部分はあるし敵側の人物の掘り下げも最小限であるのは事実で戦争賛美の視点を与える事も十分理解ができる。しかしこの映画は善悪の問題が主題ではなく戦争というものが人間に負荷を与える部分にスポットライトを当てている事こそが重要でありその負荷は生活においてストレス以外の何物ではなくこの負荷を与える戦争自体に否定的なメッセージが込められた作品なのだ。

平和に生活する場所から離れた所で当たり前の様に殺戮が繰り返されその行為の実行は末端の兵士たちに委ねられる。帰還兵達は決して忘れることのできぬストレスの中で生活を強いられ毎日22人がその苦しみから自殺している現状をこの映画は伝えるのだ。

この映画を見て何を思う。その思いは個人の自由であるからこそ、この映画を見て考える事をお勧めします。
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