Hiiiraiii

愛の渦のHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

愛の渦(2013年製作の映画)
4.4
2014.3.31 ヒューマントラストシネマ渋谷

午前0時から5時。男子2万円。女子1千円。豪華なマンションの一室に集まった男女の目的は「ただセックスがしたい」。様々な感情が渦のように取り巻くこの特異な関係性に肉体的に裸以上の精神的な裸がむき出しになる。

監督は「劇団ポツドール」三浦大輔。昨年の傑作映画『恋の渦』の原案もこの三浦大輔によるもの。
『恋の渦』で魅せられた圧倒的な男女の恋愛における稚拙さや欲望や仮面を被った会話劇のさらに奥深く、肉体交渉のさらに先を描いたのが本作『愛の渦』。
人間欲の中で一番隠されたこの秘部をさらけ出した時見えてくるものやそれが終わったあとの虚無感は少なからずこの特異な環境を経験した事が無くとも共感し同調できる部分が多々あるはず。

男女の恋愛関係においてある一つの終着点がSEXだと考える。
それは各駅停車のように一つ一つ同じ時間を過ごし同じ景色を見て、同じ出来事を体験する。いわば二人の関係性を築いていくわけだ。人によっては目的地まで次の駅かもしれないし10も離れた駅かも知れない。もちろん何度も線を乗り換えたりしないといけないカップルもいるだろう。しかしこの映画ではスタートはそれぞれ単独であり終着駅は一つしかない。そう特急列車なのだ。
本来そこには愛も何もない欲望を満たす為だけの場所なのに人間というのは面白いもので情を持ってしまうものもいる。特に肉体関係を持った相手に対して。それが良い悪いやダサいカッコイイは置いといて様々な人間の愛に関する感情の渦を体験する。SEXという隠すべき恥ずかしい欲望を描きつつもその裏側の命の誕生を描き一気に清い存在に変貌するこのテーマはなんだか深く考えさせられた。ほんとになんなんだろうな。男と女ってのは。SEXというのは。まだまだ人生の途中でわからぬ事は多々あるが一つ分かっているのは人間ってのはスケベで滑稽でダサくてバカでそれでもかわいいし面白いって事です。

これはぜひぜひ劇場の真っ暗な空間で一人こっそりとまるでのぞき部屋のように体験して下さい。
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