清朝最後の皇帝 愛新覚羅溥儀の生涯を描いたドラマ。坂本龍一の偽アジア感あふれる唯一無二のメインテーマに心が揺さぶられ続ける。
寒々しい部屋で自殺を図る暗い目をした男。そして回想される、王としての幼少期。
紫禁城を借り切って撮影された映像の荘厳さは凄まじく、幼い溥儀の無邪気な振る舞いとの滑稽な対比も時代の歪みを肌で感じさせる。
物語は革命に翻弄されながらも高潔に生きる溥儀を軸に描かれていくが、その傍らでそれぞれの密かな野心と幸福を追い求め、追い詰められる女性たちの生き様はよりシンボリックであり、美しさと醜さを含んだいっそう濃いドラマを紡ぎあげている。
中国が世界中から食い物にされていた時代を、イギリス、イタリア、アメリカ、日本が描くという歴史的因果があまりにも深い映画。これだけのスケールを支配しながらきちんとおもしろく、"らしさ"まで出してくるベルトルッチ監督の底無しの映画力が恐ろしい。
