Hiiiraiii

インターステラーのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.4
2014.11.25 109シネマズ川崎

壮大すぎるその映像と普遍的な愛を謳ったテーマで語られたSF超大作。

映像業界からの賞賛の声が多い本作を劇場で2回見た。IMAX観賞と監督のクリストファー・ノーランが愛してやまないフィルムでの観賞。IMAXではSF映画が誇る宇宙空間の広大さを体験しフィルムでは地球パートの荒廃した世界をより臨場感溢れる形として体験した。

近未来、地球は劇的な環境変化によって砂埃が吹き荒れ農作物は枯渇し深刻な食料不足に見舞われ地球の寿命がつきようとしていた。かつてパイロットだったクーパーは娘マーフの部屋で起こる不可解な現象を検証した結果それがある座標を示すバイナリ信号だと突き止める。その座標の場所にはNASAの秘密施設がありラザロ計画と呼ばれる地球の危機から人類を救う為の移住に向けた宇宙探査が行なわれていた。先発した12名の宇宙飛行士から3名の新惑星の発見の連絡がありその新たな探査に必要なパイロットを探していた所にクーパーは来たのだった。かつての自身の夢と娘世代の人類を救うためクーパーはまだ幼いマーフと別れを告げ人類を救う為宇宙に飛び立つのだった。

マーフの部屋で起こる宇宙からの[何ものか]からの交信や、[何ものか]が作り出したワームホールの出現は『2001年宇宙の旅』『コンタクト』に共通する異星の存在を感じさせるがこの映画がスゴい所は[何ものか]という存在が未来の我々地球人からのメッセージだということだ。終盤、五次元空間で繰り広げられる圧倒的なシーンはまさにその部分を強調しリアリティラインからは外れるものの壮大な宇宙の中で人間の愛を謳いあげる。説得力があるとかないとかの小さな話では無く人間が生まれつき備えられた個人への愛が世界をも救う行為に感動を覚えるのだ。科学的知識を持っていればより楽しめるかもしれないがこの映画は決してそう難しくはなく愛に包まれ愛に守られ愛を届ける直接的なメッセージを持った映画である。

ノーランは壮大なテーマをエメリッヒの様に滅亡的には描かずスピルバーグの様に大衆的な感動にも描かなかった。広大な宇宙で繰り広げられる個人を描きその愛の本質を浮きあがらせたのだ。

手放しの賞賛とは呼べないもののこんな映画が見れる時代に生まれた事が嬉しかった。1800円でこの感情と出会えるのであれば安いものではないか。そしてこの映画を劇場で見ないという行為は馬鹿げている。年末の3時間のバラエティ番組を見ている暇があるのならこの映画を見るべきである。
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