Hiiiraiii

あなたを抱きしめる日までのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)
3.5
2014.3.24 新宿ピカデリー

1952年アイルランド。主人公のフォロミナは10代で妊娠した事を責められ修道院に入れられる。そして産まれた子供は人身売買にかけられ2人は引裂かれてしまうのだ。そして50年後、ふとした事がきっかけで出会った落ちこぼれたジャーナリストとフォロミナは息子を探す旅に出る。

この映画はノンフィクション本として刊行された「The Lost Child of Philomena Lee」を基に描かれた。
アイルランド修道院とアメリカで人身売買が行なわれていたという事実は一部宗教団体から映画に対し抗議があったようではあるがいわゆる告発物の映画では無く純粋に母が子供を想う気持ちを端正に切り取った映画という好印象を受ける。
重くるしい題材をコメディ要素を散りばめたバランスにどう受け取ってよいか感情が迷う部分もあったが朗らかなフォロミナの人物像が「母親の愛」という映画のテーマに集約しているのが好感を持てた。

帯同するジャーナリストをフォロミナの価値観や宗教観と対比させた事が鑑賞者の宗教者であるフォロミナに対するクエスチョンマークの案内人になりそして次第に共感させていく。離ればなれになった息子に近づいていく【少しずつ明らかになる感動】作となっている良心的な映画であり映画館の鑑賞者も大半がお年を召した方だったのも印象的。もちろん若い人が見るべき映画でもあるので是非みなさまには劇場で観賞してもらいたいものだ。
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