ずっとずっと観たくて楽しみにしていたウェス・アンダーソンの最新作、レイトショーで楽しんで来ました！
もう、どの場面を切り取ってもアンダーソン監督らしさが溢れていて、完璧な美しい画面の構図やカラフルな色使い、衣装に建物の内装、調度品にどれもこれもが素敵すぎるアンティーク小物など、ワンシーンごとに丁寧に緻密に作り込んだこだわりの職人芸が今作でも冴え渡っていて、今回もやっぱりすっかり彼の作る世界の虜になってしまいました。
カラフルで可愛くてユルユルでありながらも、戦争の足音、ファシズムの台頭という時代の不穏な空気を凍える冬の暗さとともに描いていて、グランドブダペストを愛するグスタヴがホテルをファシスト達に乗っ取られて屈辱を感じるシーンなども印象的で、単なるユルカワなオシャレ映画ではないところがとても素晴らしいと思いました。
憧れだった華やかなグランドブダペストが、戦争など時代の波にのまれてやがては寂れ廃れていく物語は、文化や芸術が花開く自由で平和な世界を希求し、戦争を克服できない世界に絶望した作家シュテファン・ツヴァイクの生涯や作品からインスパイアされたとのことで、劇中でも、そしてこうして素晴らしい映画の作品としても語り継ついでいく事の意義を感じました。
あと、何と言ってもキャストもとっても豪華で、ほんのチョイ役なのにウェス・アンダーソンの作品ではおなじみの役者が出てたりして、ほんと嬉しくなります。
ムーンライズ・キングダムの後にもまたこんな素敵な作品を作れるウェス・アンダーソン、あなたに一生ついていきます！
2014.6.7 TOHOシネマズ くずはモール
【14-45】
