牛猫

グランド・ブダペスト・ホテルの牛猫のレビュー・感想・評価

3.3
とある高級ホテルを舞台に、常連客のマダムをめぐる殺人事件と遺産を巡った争いにコンシェルジュの男が巻き込まれる話。

月並みだけど、ウェスアンダーソンの色彩豊かで絵本のような世界観に釘付けになる。
背景、衣装、細かい小道具までとにかく綺麗でかわいらしいし、ホテルにお屋敷、美術館に教会。出てくる建物も全て左右対称で美しい。
スラム街や刑務所でさえ、どこか幻想的な雰囲気なのは凄い。
色使いやカメラの撮り方など監督のこだわりが伝わってきて、眺めているだけでも楽しめるような画面構成が見事だった。

しかし、肝心の中身が色んな要素を詰め込んでいる割には面白くない。
コンシェルジュと見習いの師弟関係から始まって、少年少女のラブロマンスがあり、殺人事件にまつわるミステリー要素もあり、刑務所からの脱出劇もあり。更にブラックなコメディ要素やドンパチ劇もありと実に盛りだくさん。
一つ一つは映像の良さも相俟って楽しめるけど、トータルで見ると点でバラバラ。ブツ切りな感じは否めない。
人がバタバタ容赦なく死んでいくのもこの世界観に合ってない気がした。
テンポが良いから退屈せず見ていられたけど、もっと面白くできたかも。

オシャレでセンスが良い映画であることは間違いないので、そういうのが好きな人なら満足できると思った。
牛猫

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