2014.5.15 TOHOCINEMAS六本木
マニアックな題材を取り扱う事が多い矢口監督の最新作はなんと林業！
コメディ映画ながら目標の無い青年が仕事を通して成長していく青春映画の側面を持ち、先祖が植えた木や子孫の為の植木等の『過去と現在と未来に対しての責任』といった精神性の高い林業特有の価値観を描いた良作。
最初は1年の研修期間の終わりまで指折り数えていた主人公だが後半には「あと何日だっけ？」と正確な日数など気にも止めなくなったり『愛羅部優（I LOVE YOU）』と書かれたタオルの最終的な使い道、繰り返される挨拶の妙など細かな演出が積み重なっていく様が心地良く次第に林業に染まる主人公を際立たせる。
映画の最大の見せ場でもある特殊な祭りでのとんでもコメディ展開には、それまでに描いてきた林業が持つ崇高な文化とはかけ離れたギャップに、より一層笑わせてもらった。
狙いすぎたコメディ演出も少なくあくまで自然体に笑える質の良いコメディ映画です。耳たぶのくだりはもう大大大爆笑ものでした。恋愛パートになかなか感情移入が出来ないという難点はありますが染谷将太や長澤まさみ、伊藤英明などの脇を固める役者陣ほとんどが好印象の邦画では稀な映画です。清涼感たっぷりのオチも清々しくポジティブシンキングな一作でありますよ！
