Kaoru

レイルウェイ 運命の旅路のKaoruのレビュー・感想・評価

レイルウェイ 運命の旅路(2013年製作の映画)
3.1
第二次世界大戦中、当時ビルマだった場所で日本人の捕虜として鉄道建設のために過酷な強制労働を強いられた主人公エリック。ある出来事で拷問にかけられそれが晩年までトラウマとなって人生を暗いものにしてしまう。
エリックが老年になり当時通訳として日本軍にいた永瀬というオトコと対峙するという話。

実話ということを踏まえて観たら本当に本当にすごいとしか言いようのないエリックの人間性にグッときます。そして永瀬を演じた真田さんもステキで名演です。

「悲劇」という永瀬に『犯罪』と言い返し、「戦争で亡くなった…」と言えば『殺されたんだ』と言うエリック。当時の永瀬だってきっとチョイスがなかったはず。戦争という狂気の中で冷静に人格を保てるなんてことはきっとできないだろうし、捕虜を経験した人たちだって想像できないほどのやり場のない苦しさがあればそれを向ける場所が必要なんだとも思う。
戦争なんて無縁のアタシたちがどちらの国が悪いか、誰のせいなんだなんていう議論をしてもナンセンスかもしれないけれど、いつまでもこういう議論を続けていくべきなんだろうなぁと思う。もし、今のアタシたちが当時の日本人よりも人としての道徳観念を持てているとするならば、それはきっとこういった先人たちのおかげなんだと思う。

日本人として観ておいたほうがいい作品です。
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