Kaoru

ペイン・アンド・グローリーのKaoruのレビュー・感想・評価

4.1
とってもとっても素敵な作品。
これがおっしゃる通りアルモドバル監督の自伝的物語と言うならば、こんなにも悲しく、こんなにも優しい人生、愛しくてたまらなくなる。

派手な内容ではないし、激しいアクションなんてないし、ゾロ時代のバンデラスは面影すらないし、なんならペネロペだってヨレヨレだし。でもでもでも、だから寄り添えるんだと思う。ノンケだってゲイだってバイだって、若人だって老人だって持ってる愛はみんなおんなじ。

プロモーションでは「スペイン版ニューシネマパラダイス」と言われていたけれど、アタシから言わせれば、まぁ、そうとはならないわな。だけれど、それとはまた異なった愛を描いていて、ニューシネマパラダイスが壮絶な愛と友情を見せられる作品ならば、こちらはもっと自分の側に寄ってくれる作品。だから全体的にやさしさを感じるの。

言わずもがなアルモドバル監督の映画らしく、インテリアはちょーーーーキュートですんごくおしゃれ。この監督は古めかしいものや、くたびれたものの中に美があることをいっつも教えてくれる。
アタシのお気に入りのシーンは、「神学校なんて嫌だ!」と家を飛び出すサルバドールをママンが追っかけるシーン。綺麗なペネロペがガニ股でデンデンと階段を上るところ。いちいち女優の美しい姿を撮らなくても、生きることの美しさは充分伝えられるもなのね。

色情についても微妙で繊細な心の動きをとてもリアルに、痛々しく描かれていて好き。
ストーリーの最後の綴じ方もとてもオシャレでさすがアルモドバル監督!心から好きだわ。
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