Kaoru

聖なる犯罪者のKaoruのレビュー・感想・評価

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)
4.0
アタシはものすんごく好き。

ダニエルを演じたバルトシュくんのまぁ魅力的なこと。くっそイケメンというワケじゃないし、年齢もともすれば性別も抽象的な感じで、でもいっぱいタトゥーも入れてるし、悪人顔だし。でもそれが故に聖職者を演じるってどうなっちゃうんだろうと目を離すことが出来なかったわ。

世の中には悪い人と良い人がいるのではなくて、ひとりの人の中に悪い部分と良い部分があるだけなんだと思う。それが環境やきっかけや出会いなんかでどの部分が顔を出すのかって話。

この作品の一番おっかないところは、刑務所であんないじめがあるってことや、宗教にすがる人々がいるってことより、ダニエルの弱さが現れてあんな形で幕を引いたことじゃないかしら。
あの目のすわりかた、尋常じゃない。

悪いことをして少年院に入ったけれど、カリスマ的に人を導く素質もあった。ひとなんていとも簡単にどっちにも転んでしまうのね。

押し付けがましくなく、静かに淡々と流れるようにすすむ作品。たまに丁寧に描かれ、たまに残酷に描かれる。穏やかな情熱を感じた作品だった。
つばを飲む音や視線だけで緊張感を表現する監督や役者の能力たるや!とにかくずっと引き込まれる作品だった!
Kaoru

Kaoru