ドント

極道恐怖大劇場 牛頭のドントのレビュー・感想・評価

極道恐怖大劇場 牛頭(2003年製作の映画)
4.0
2003年。大変よい映画を観ました。ヤクザ映画meetsデビッド・リンチとかいう、うどんカツ丼カレー揚げのような、奇怪千万なる三池崇史の秀作。頭のおかしくなった兄貴分を“処分”しに名古屋へ向かった弟分が、兄貴の事故死を機におそろしく奇妙な世界にはまりこんでいく。
米国ならマフィア、ダイナー、ホテルなのだろうが、これは邦画なのでヤクザ、喫茶店、旅館になる。雰囲気もせせこましく貧乏くさい。だがそれがいい。ヘンテコな奴らも出てくる。でも明らかに「笑い」ではなく「居心地の悪さ」が先に立つ。オフビートなコメディと言うにはあまりに不穏でダウナーなのだ。
監督も役者もクソ真面目一辺倒(鼻をつまむとこやお玉などは除くが)な仕事ぶりで、ギャグに陥る半歩手前にとどまった、不条理なJホラーの如き不安感につきまとわれる。構図も描写もいちいち最高(特に前半)。終盤おっとこっちか……?と思わせる展開になるが、ラスト5分が根こそぎかっさらっていく。
実は「ホモソーシャル内の兄弟仁義愛」で読み解ける難度低めな不条理作品である。無闇に豪華な出演陣と共に、この世界を体験しよう。それと牛頭はあれはむしろ「くだん」ですよね?
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