踊る猫

ほとりの朔子の踊る猫のレビュー・感想・評価

ほとりの朔子(2013年製作の映画)
4.3
スジ自体は前半の仕込み段階が退屈でしょうがなかったのだが、それを補って余りあるのは川辺で二階堂ふみ氏が水と戯れる時の輝く光の美しさだろう。私は映像美を楽しむ感性をからっきし持ち合わせていないのだけれど、それでも画面から滴り落ちるような光には「見事だ……」とすっかりやられてしまった。そしてスジは後半から尻上がりに面白くなって来る。編集も深田晃司氏が自ら手掛けているらしいが、良くも悪くも素人臭さと低予算故の手作り感が感じられてそれもまた点を低める結果となってしまった。ただ、上述した光の美しさは強調しておきたい。乏しい鑑賞体験から言えば、是枝裕和『海街diary』を想起してしまった。これは掘り出し物……というと失礼になるだろうが、ノーマークだった監督なので巡り会えたことを僥倖に思う。今後公開される『淵に立つ』も実に楽しみだ。
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