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アデル、ブルーは熱い色のRのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
5.0
パッション溢れる激しいレズビアンSEXシーンが延々と10分以上続く、スゴい、エロい、みたいな話を聞いて、それは念のため見ておかなければなるまい、と思い、はじめて劇場で見たときは、確かにSEXシーン長いし、話も面白いけど、ちょっと共感しにくいなぁと思っていた。スコア☆4.3くらいかなーと。そして、今回めちゃめちゃ久しぶりの2回目。やられましたわ。心鷲づかみにされましたわ。英文学を学んで学校の先生になりたいと思ってるお年ごろ女子高生アデルは、好意を寄せてくれてる男子と付き合い始め、ある日、キスをし、セックスをして、けど、なにかしっくりこないなって感じてるときに、校門の外で、髪を青く染めた美大生エマにすれ違い、不思議な気持ちが……と思ってたら、あれこれあって二人は出会い、徐々に互いを好きになり、やがて熱烈に愛を求め合う。序盤は、アデルの性の目覚めとセクシュアリティの気づきがテーマとなり、その過程で前述のセックスシーンが出てきます。話題になるくらいなんで、ものすごくホットで激しいセックスなわけですが、僕はぜんぜんエロいと思わなかったなー。普通に行いの内容が興味深くて、なるほど、なるほど、と納得し、学習しながらの拝見。途中で登場人物の男が、女のオルガズムは男のそれより何倍も強烈で、神秘そのものだ、みたいなことを言うシーンがあって、ふたりのSEXシーンでそれを強く意識していた。男ってカムガズムということばがあるように、イク瞬間が可視的なんですよね、精子が事実いまここに出てまうので。直前急上昇・直後急落下。けど、女はほらココからがオルガズムだよという物理的な目印がないので、それが女同士となると、双方にとってどこがやめ時か分かりにくいんじゃないかな、と思ったんやけど、本作では二人とも同時にイッたのか⁉︎みたいな瞬間があって、何とも不思議なものだなぁと。もっとエモーションから来るものなのかもなぁと。あと、たとえば男同士のセックスだと、挿入物・挿入口の双方が存在するため、入れる・入れられるの分かりやすさゆえの取り組みやすさがある。もちろんバニラな人たちもたくさんいるのですが。で、女同士だと、貝合わせがそれに相当すると思うんやけど、実践されてるのを見ると、これでほんとうに快楽が得られるのか、とかなり疑問。二人を見てる分には気持ちよさそうにしてるのだが……経験おありの方には、どのような刺激をもたらすのか、手や口のもらたす快感と異なるのか、是非ともきいてみたい。おっと、性的な話題を長く書きすぎましたが、えっと、ふたりは性格が全然ちがいます。アデルはおっとりしてて、ぼんやり口が半開きになってることが多く、ちっちゃい男の子や動物みたいにラブリーでキュート。口がとにかく印象的で、笑ったときにウニっと口が開くのが何とも言えないし、食べ方が不器用なのも微笑ましい。エマは自分のこだわりや意見をしっかり持ってて、妥協を許さない、ピリッとした雰囲気の厳しきアーティスト。しゅっとしてる。二人はその後、お互いの実家に食事をしに行くシーンがあり、ふたりの生活してきた環境のギャップが、とても興味深く描かれる。何でも受け入れて自分なりに消化するしかないアデルと、要らないものは切り捨てて自分の理想を通すこのできるエマ。この二人の火花散る恋のストーリーが、顔のクローズアップ多めで3時間に渡る大展開をしていくもんだから、否応なく彼女らの感情に引っ張り込まれる。ほぼ全ショットに現れるもっとも暖かい色ブルーに彩られながら。ふたりの学生時代を描いた前半が終わると、社会に出て仕事やさまざまな社会活動が始まってからの後半が始まる。ここで自分的に面白いなーと思ったのが、前半では、うーわ、おれ完全にエマ側やわ、アデルに対する愛情の表し方とか、さまざまな面が、まったく僕によく似てるわと思っていたら、後半はうーわ、オレ完全にアデル側やわってなって、アデルと共にすさまじい感情のストームに吹き荒らされ、見終わる頃にはゲッソリ😰 死んでしまいたいかと思いました。こうして見ると、恋愛感情ってほんまに麻薬みたいなもんだなーというのがよく分かる。無理やり取り上げられると、禁断症状で、居ても立っても居られなくて、ただただ苦しみにのたうち回る。やから、うまく自分をコントロールしてないと大変だなーとめちゃくちゃ思った。ただ恋愛と麻薬が違うのは、恋愛は麻薬のような具体的な物質や主体の積極的意思決定なしで、衝動的に発動してしまうという点、そして、社会的にそういった感動があたかも当たり前のもの、さらには至高のものとしてもてはやされているという点だ。そんなこんなを考えながらも、ものすごい食いつきでのめり込んで見てしまってました😓 演技の面では、主演女優ふたり最高!!! 特に、後半のひとつのクライマックスでの、アデルとエマのガッチンコがすごかった。エマの火炎を吹くかのような剣幕と、アデルの悲痛すぎる嘆願……胸が絞られるようだった。つらすぎる😭し怖すぎる😨 そして最後のエロスと……最後の放心……ああ、もう、ダメだ、終わった……よろよろしながら床に就きました。グッタリ。おやすみなさい😴
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