むぎちゃ

インセプションのむぎちゃのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.3
今回のリバイバル上映は新作のプロモーションを兼ねてのもので、数分間に渡るテネットの本編映像も見ることができたが…。
なにあれ…べらぼうに期待しちゃうじゃないの…。


さ、それはさておきインセプション。
何が凄いって、この映画のクライマックスって橋から川へ落ちる10秒間なんだよね。時間の概念もオリジナル設定だからもうやりたい放題だぜ!

特に好きなポイントは、ミッションに臨むにあたってパーティーを集めるところ。
『設計士』『偽装士』『調合師』と、RPGゲームのようにジョブ名があるのが少年心と言うか中2心を最高にくすぐる。


で、逆にこの映画の企画倒れなポイントは、夢という皆が知る概念ながらその攻略方法や世界観がオリジナリティ溢れ過ぎて1から10まで説明しなきゃならないところ。
どうしても「説明しよう!〇〇とは!」みたいなシーンを挟まにゃならん。

ただ断っておきたいのは、よく聞く「この映画は説明過多だ」ってのはあまり納得していない。
説明しなければならないシーンで説明すべき相手に説明するのと、流れ関係なくまるで観客に分からせるためだけに喋り出す説明、所謂説名台詞とではまるで違う。この作品は明らかに前者なので、悪い意味で使われる「説明過多」とは異なるとは思う。なにより実際観てて気にならないし。
むしろ夢見る機械とか夢へのハッキングとか、欲しい説明を堂々と飛ばしてることの方が多い印象。


円盤で何回も観ているが、でかいスクリーンでこそ映える映像は本当に圧巻。
理解しづらいこの映画において、脳みそに直接ゴリゴリと無理矢理理解させてくれる要素のひとつがこの映像面であることは間違いない。

が、なによりも音楽こそがこの映画の大事な要素になっていると思う。

何度も言うがこの映画は分かりにくい。
しかし初見時に誰もが理解出来たはず。
「よく分からないけど、ここ山場だな、ここまでにこれを完遂しないとダメなんだな」って。

ここがクライマックスですよ!と極限の緊迫感を映像は勿論、音楽もまた見事に表現しているからだ。
クリちゃんの見てる世界を理解して音に落とし込む、ハンス・ジマーの御業ですよ。


だけどやはり分かりづらい映画だなー。
まぁあえてそうしてるのはラストシーンのためってことだけは明白ですわな。

個人的には現実であって欲しいと切に願う…。
コブ自身の深い罪が迷宮を作り出し、その迷宮から脱する糸となるアリアドネ。
シンプルなヒントだけど、これだけで充分そうであって欲しいと思える材料だとは思う。
けどその辺は差し置いて、理由はひとつ。

「観客はハッピーエンドが好き」
むぎちゃ

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