「大惑星DUNEは地球に至近距離まで近づいて、素晴らしい種を撒いていった」
アーティストに好かれ、ハリウッドに嫌われた男ホドロフスキー。彼の志した未完の大作は、人として、発想として、いまも映画史に宿りつづける。
膨大な絵コンテを映画のように動かしてみせ、そこに陽気で衝動的なホドロフスキーの語りが入るので、一本のドキュメンタリーとしても相当親しみやすいものとなっている。やっぱりホドロフスキーは、“ズンバ、カメラ”なときのほうが面白い。
また、ホドロフスキーとしては商業的な『サンタ・サングレ』は『DUNE』頓挫後の製作だったのかと合点。デヴィッド・リンチ『DUNE/砂の惑星』を楽しんだ数少ない人間としても把握した。ヴィルヌーヴは僕たちを楽しませてください。