円柱野郎

武士道シックスティーンの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

武士道シックスティーン(2010年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

いわゆる青春スポ根モノとして分類されるであろう作品だけど、部やチームという全体が何らかの目標に向かう話ではなく、二人の主人公が出会うことで互いに影響される心をメインに話が進んでいく。
剣道の試合をあっさり描いてしまうのはこの手のスポ根としては意外な気もするけど、脚本が上手く、主人公二人の心情にフォーカスしているのが良い。
だからクライマックスであろうインターハイの試合ですら、細部が描かれなくても全く気にならない。
大事なのはその試合の結果じゃなくて、そこに至るまでの二人の成長であり、気付きなんだからね。

方や幼い頃から道場主である父に勝利という命題を叩き込まれた“剛”の者であり、方や勝つことよりも楽しむことがモットーの“柔”の者。
“勝つこと”“楽しむこと”という揺れを通して成長していく、後味のさわやかな青春映画でした。

剛の磯山を演じるのは成海璃子。
柔の西荻を演じるのは北乃きい。
特に序盤の磯山は教室で鉄アレイを持ちながら五輪書を読んだり、おにぎり食って座禅するようなマンガの様なキャラなんだけど、この辺のコメディ部分もなかなか面白い。
というかギャグとしてはベタ過ぎるが、まあ掴みかw

そうそう、比較的シリアスになった後半でもギャグがあり、…その西荻の父として登場する板尾創路の発明品には参った。
発明内容はともかく、そいつが映す映像がこの映画と全く関係のない“あのSF映画”のオマージュでねえ…。
個人的にツボ過ぎて爆笑ですよw
まあ類型的な助言キャラといえばそうだけど、この西荻の父(板尾)はちょっとしか出ない割になかなか良いことを言うんだよなあ。
飄々としたキャラが板尾にはハマっているけど、それ以上に、話に関係のない発明品がインパクトありすぎてすごくおいしいキャラになっているんじゃなかろうか。
円柱野郎

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