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ダラス・バイヤーズクラブのtjZeroのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
3.8
飲む🍺、打つ💉、買う🚺、に明け暮れていたロン(マシュー・マコノヒー)にHIVの陽性反応が判明。余命30日を宣告される…。

↑ここまではまあ、ありがちな展開なんだけど、この後がスゴい。
メキシコのもぐりの医者から無認可の薬を手に入れたロンは、余命を過ぎても生き延び、違法な薬の密輸を始める。
麻薬のジャンキーが医薬品のディーラーになる…これが逆転その①。

怖いものなしのロンは、己の身体に人体実験をしてあらゆるドラッグを試し、実践的な医学の知識を蓄えていく。
自堕落なチンピラが医師と互角の博学になる…これが逆転その②。

ロンはその後、国や医薬品局が推奨するエイズ治療薬が有害なことを突き止め、訴訟を起こす…逆転その③。

ロンのセリフ「死なないことに精一杯で、生きてる心地がしねえ」。
前半では捨て鉢なロンの生きざまを軽蔑して観ていた観客も、次第に彼の方が残された生をガムシャラに生きてるんじゃないかと思い始める…これも逆転その④。

そして、これらのあざやかな逆転を連発する本作が、実話の映画化というのがさらに驚き…逆転その⑤。

そしてそして、こうした大逆転を生み出し、アカデミー主演男優賞に輝いたマコノヒーの演技が、いかにも賞を獲りそうなクサみのある演技ではなく、どこかいかがわしさやふてぶてしさを残した活きの良さを感じられるのが、観る側にとっての最大の”逆転”=サプライズになっているのかもしれない。
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