Hiiiraiii

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

4.2
2014.10.5 シネマライズ

『ラブ・アクチュアリー』で世界中を幸せにしたリチャード・カーティスの最新作で最後の監督作。

21歳の誕生日を迎えたティムは父親からある事を告げられる。一族の男は21歳の誕生日を迎えるとタイムトラベルの能力を得るという事を。非現実的要素をまとって日常の些細な幸せを感じさせてくれる素敵な映画です。

タイムトラベル映画は数あれどここまで身近な映画はかつてあっただろうか。ニックがタイムトラベルを使う理由は世界を救う訳でもお金持ちになる訳でもない。自分の身の回りにいる人たちを思ってタイムトラベルを使いみんなを幸せにしていく。好きな人の為に家族の為に友の為にホンの少し世界を変える。

アバウトなタイムトラベルのルールに首を傾げる部分もあるが実は本作にとってタイムトラベルという要素はあるものを引き立てる道具にしかなっていない。あるものとは普段我々が生活する当たり前のような一日一日の幸せを確認すること。忙しかったりイライラしたりすることもある。でもその生活の中には沢山の幸せが隠れていて私たちは見失いがちだったりする。当たり前の様にある仕事だったりいつまでもいると思う家族や恋人。その一つ一つは運命と呼ぶに等しい確率で出会っているものであり自分を形成していたりもする。決してタイムトラベルを使わなくても感じれる事を私たちは見失いがちに生きている事を映画は教えてくれるのだ。そしてその出会いの素晴らしさを映画は謳う。

映画のラストにティムが語る「1日だって僕はもう過去に戻らない。みんな、人生をタイムトラベルしているんだ。すばらしい日々を噛みしめよう」という言葉はズシンと心に響く。ただの恋愛映画だと思っている人が多いと思うが(観賞前は私もそう思っていました)素晴らしき哉、人生映画です。もう絶対見て下さい。甘いよ。甘っちょろい映画ですよ。でも気づかされる事は山ほどある。学ぶ事も山ほどある。何も感じず歳をとる事がいかにつまらないか。あなたの長い人生の、『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』少し考えてみるのも決して悪くはないはずですよ。
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