Hiiiraiii

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅のHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

4.8
2014.3.12 新宿武蔵野館

アレクサンダー・ペインの新作は今回もまた良かった。

モンタナ州に住む老人ウディのもとに宝くじ当選の手紙が届く。これは実際には私たちにも毎日の様に携帯に届く迷惑メールと同じ類いのものなのだが頑固で寡黙なウディはリンカーンという土地に金を受け取ろうと遥か遠い目的地に向け徘徊者の様に連日歩いて行くのだった。連日警察に保護され自宅に舞い戻るウディに見かねた妻と長男は冷たくあしらうのだが年老いたウディに次男のデイビッドは車でリンカーンへ一緒に向かう事を決断する。頑固な父も現地で迷惑メールだったと解れば納得できるだろうと。

よぼよぼではあるものの自分の意志がハッキリしているウディに対して、ここまでの宝くじに対しての執着は一体何なのか?という事が次第に我々観客も付き添うデイビットと共に気になってくる。無口なウディは自身を語る事は無いのだが道中父の故郷に寄った際にデイビットが知る父の生きて来た歴史や過去を感じ次第に父を理解して行く。

そして明かされる父の宝くじへの執着がなんともジンワリと感動させられるのである。寡黙で密接な親子関係のなかったこの二人が旅を通して理解し尊敬し合う物語になんともいえない高揚感を覚えたのだった。

アレクサンダー・ペインが敬愛する小津安二郎の匂いがほのかに感じる点も個人的にはとても良かった。地味すぎる映画ではあるが父と子のロードムービは特別なものがあり親子間の特別な絆というものの大切さを教えてもらった気がします。メインストーリー以外のサブ的な要素がほんとに可愛らしく面白く描かれているのがより幸せを感じさせてくれるのでしょう。
いつの時代でも見たい良質な映画です。
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