KouheiNakamura

ファインディング・ドリーのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)
3.8
私を探して。

前作から実に12年ぶりの新作。物語設定は前作から1年後。その時差、実に11年。(!)しかし、「ファインディング・ニモ」では未消化だったドリーの物語は今回で無事完結。続編やって良かった!

ドリーが抱えているハンディキャップは、短期記憶障害。前作でもギャグタッチにはしていたけれど、その実とてもヘビーな題材です。忘れたくなくても、忘れてしまう。思い通りに出来ない自分に苛立つ。そうして、いつしかドリーは目の前の事態に対処する術を模索するようになります。
そんな彼女の幼少期からマーリンに出会うまでを描いたオープニングがまずは素晴らしい。前作の結末を知っているものからすると、マーリンに会えてよかったねドリー!と既にこの時点で少しウルウル。
総じて、ドリーの両親探しを軸とした本筋のストーリーは中々手堅く感動できるものに仕上がっていたと思います。映像美も前作より格段に美しく、かつ爽快感のあるものに。ジンベイザメのディスティニーをはじめとした魅力的なキャラクターたちも華を添えます。

しかし惜しいことにこの映画、本筋以外のサブプロットが色々と描きこみ不足なんですよね。特にタコのハンクはもったいない。水棲生物とは信じられないぐらいの活躍ぶりも、彼自身のドラマとはほとんど絡まず残念。上川隆也さんの演技もハマっていただけに、なおさら惜しいキャラです。
また、リアリティを大事にしているピクサーらしからぬ雑な描写も目に付きます。

ドリーの物語の完結という意味では見事な作品ですが、ピクサーの新作としては少し物足りない一作でした。
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