Hiiiraiii

寄生獣のHiiiraiiiのレビュー・感想・評価

寄生獣(2014年製作の映画)
2.9
TOHOCINEMAS六本木 2014.12.2

映画オタクと謳いながら日本映画界のヒットメーカー山崎貴作品を見てこなかったのには理由がある。不朽の名作『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を原作とした『BALLAD 名もなき恋のうた』は単純なお涙頂戴モノに仕上げたその深き罪と『SPACE BATTLESHIP ヤマト』で物語の展開を無視したキスシーンの挿入と作為的な感動シーンの連続の演出にもはや今後の彼の作品は鑑賞するに値しないと決めつけてしまったのだ。その後も本年度の邦画大ヒット作『永遠の0』の噂も良いものがあまりなく『STAND BY ME ドラえもん』に至っては「ドラ泣きしませんか?」というキャッチコピーから泣く事が前提の映画鑑賞は映画を冒涜するものと考え近寄りもしなかった。そんなヒットメーカー山崎貴の最新作『寄生獣』を見にいってみた。

原作は岩明均の名作漫画であり映画化権はハリウッドが取得していたが日本に戻ってきた。おそらく漫画版の寄生獣に熱狂した世代は私の少し上の世代でありリアルタイムの熱狂を知らぬ者として純粋な映画として鑑賞。

人間とは何者なのか?人類は他者は共存可能か?という哲学的考察が散りばめられその結末は来年公開の後編を見てみないと何とも言えぬが本作ではその哲学的メッセージの散りばめられ方がなかなかおもしろい。最愛の母親が寄生する事でより共存可能の存在かを認識しそれを駆逐していく事で人間としての価値観を疑っていく。中途半端に寄生した主人公の新一が新種と人間の中間に立ち物語を大きく見せているこの構造はおもしろい。これは原作からの出典だそうだが映画化された本作もその部分は色濃く描かれ来年の後編が待ち遠しい。

山崎作品で評論される事の多い大仰な音楽で盛り上げるた涙シーンというものも前編ではおさえられており漫画原作ものの映画としては良き方の映画なのではないでしょうか。はやく後編が見たいものです。
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