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サクラサクのtjZeroのレビュー・感想・評価

サクラサク(2014年製作の映画)
3.5
取締役就任を控えた主人公だったが…。
妻との関係は冷え切っている。長男はドロップアウトして将来が見えない。長女は反抗期。
そんな家族間の歪みが、一番弱い立場の祖父の認知症として現れているような描き方。
救いなのは、二番目に弱い立場の長男が、最も祖父に寄り添い、面倒をみていたこと。
どんな立場の人にも、大事な「役割」がある。
ただ実際は、本作のような三世代同居は激減している訳で、そうした「役割」を、家族ではなく、コミュニティや行政や、民間組織にゆだねるしかない現状。
満足するサービスを受けるには、ある程度の家計の余裕がなければならない…。
すると経済的に不安な若い世代は→子どもを持つことをためらう→ますます少子化→家庭内で認知症に寄り添う「役割」はいなくなる…の悪循環。
そんな切実な問題を考えるきっかけになる、わかり易さが本作にはある。シンプルだけど、価値のある作品。
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