Azuという名のブシェミ夫人

コーヒーをめぐる冒険のAzuという名のブシェミ夫人のレビュー・感想・評価

コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)
3.8
彼女の家で目覚めるニコ。
コーヒーを入れてあげるって言われたのに、ケンカしちゃって飲み損ねた。
そしたらその一日、何もかもが上手く行かないんだ。
なんとかコーヒーで一息入れたいけど、それすらも叶わない。
どうしようもない一日のお話。

なんだか黒い笑いに包まれる。
“苦笑い”っていうのがこんなにピッタリくる映画もない。

巻き込まれてしまったり、不可抗力の災いだって沢山あるんだけど、ニコの一日が不運の連続だった要因は、間違い無くニコ自身にある。
変な人に絡まれちゃうのだって、たぶん似たもの同士引き寄せちゃうからなんだよ。
みんな今(現状)が、自分自身の事が、全然見えてない。
上階に住む変なオヤジも、もう太って無いのにトラウマを抱えている女性も、ナチス政権を生き抜いた老人もみんな過去に囚われてる。
ニコもコーヒーが飲めなかったからツイてなかったわけじゃないってこと、ちゃんと分かんないとダメだよ。
今朝の占いが最下位だったから。
さっき道で黒猫とカラスを見ちゃったから。
初詣でひいたおみくじが悪かったから。
人はどこかに理由をつけたがる。

それに甘え癖があるのね。
タバコの火を色んな人から拝借するように、その場その場でやってきたんだろう。
でも、根は優しくていい子だと思う。
だからやっとありつけたコーヒーで一息ついたら、“2年間考え”たりせず、ちゃんと現実と向き合って欲しいな。

邦題はちょっと違うかな。
原題のOh Boyの方が、しっくりくる。
しかも読むときは溜息まじり。
でも、この邦題だったからこそ手に取ったのかも。

コーヒー好きの方は飲めない環境下では見ない方がいいですよ。
私は途中で一時停止してコーヒーを淹れてしまいました。
ニコと一緒になってヤキモキするのもアリかも・・・。