mimitakoyaki

幸せのありかのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

幸せのありか(2013年製作の映画)
3.8
脳性麻痺で身体が思うように動かず、話すこともできないため、知的障害があるとみなされたマテウシュが、コミュニケーションの術を獲得していくまでの長い道のりを描いた物語です。

知的にはノーマルなのに、思いや考えを言葉にできないってどんなだろう…。
お母さんの大切なブローチのありかを教えたかったし、淡い恋心を抱いた向かいの女の子にも思いを伝えたかったでしょう。
僕は植物じゃないと伝えるまでにかかった年月を思うと、僕は神様から嫌われてるとマテウシュが思うのも無理ないです。

でも、困難や悲しみ、やるせないことがたくさんあるはずなのに、マテウシュにはユーモアがあって、悲壮感がないところがいい。
おっぱい本位で女性を見るところなど、密かな楽しみも可笑しい。

これまで、重度の障害を抱えた人の話は「潜水服は蝶の夢を見る」や「オアシス」「セッションズ」など観ましたが、懸命に生きる姿の美しさや、人間らしさ、尊厳を感じました。
この作品でも、両親から愛されて育った幼少期から、初恋、青年期までの人生が綴られ、マテウシュが身体の全てを使って自分をぶつけて伝えようとする姿にとても感動しました。

あと、1980年代のポーランドの雰囲気もあまり見ることがないので新鮮で、ドイツから送られてきま日用品に家族がときめいてるのも、80年代でまだこんな感じだったのか…と驚きました。

また、マテウシュに愛情を注ぐ母を見て嫉妬する姉や、マテウシュを可愛がる兄など、家族のいろんな姿も描かれていたのも良かったです。

【15-3】
2015.1.14 シネ・リーブル梅田
mimitakoyaki

mimitakoyaki