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プリズナーズのtjZeroのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
3.9
ペンシルヴァニア州の郊外の町。
ケラー・ドーヴァー(ヒュー・ジャックマン)一家は、親しくしているバーチ家と共に感謝祭を祝っていたのだが、ふとした隙に両家の幼女が行方不明になる。
現場から逃走した青年アレックスが警察に拘留されるのだが、嫌疑不十分で釈放されてしまう。
娘の救出を焦るケラーはアレックスを廃墟に拘束し、拷問して行方を訊き出そうとするのだが…。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作の鑑賞3本目。
今回もグッと引きこまれるような演出&作劇で、153分の長尺を集中して見入ってしまった。

本作で登場する印象的なモチーフは、”窓”。
アレックスが乗るRV車の汚れた窓、ケラーや刑事役のジェイク・ギレンホールが乗るクルマの雨に煙ったフロントガラス。その他の登場人物たちも、窓越しに捉えたショットが多い。

曇った窓は先の見えないミステリー展開を象徴しているし、偏見や思い込みから自由になれない登場人物たちの心模様にも感じられる。
また、窓にフレーミングされた各キャラクターの姿は、”囚われた者”(=プリズナーズ)としてまさに本作の主題となるイメージとなる。

この”囚われた”という閉塞感は、『メッセージ』でも『ブレードランナー2049』でも感じられた。
窓(=透明な壁)というモチーフは、両作にも登場している。
『メッセージ』では、ヒロインの言語学者とエイリアンを隔てる透明な壁。
『2049』では、元ブレードランナーのデッカードが免疫不全の娘と再会する際の、気密室のガラス面。
”窓”をぶち破れるかどうか、はそれぞれの作品のテイストによって異なるけど、何かに囚われた主人公たち…という構図は三作を貫いている。

そういう意味で、この監督は非常に作家性が強そうで、今後もいろんな作品という”窓”を通して、どんな一貫したメッセージを受けとっていけるのか、ますます楽しみになってきた。
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