なお

ジュラシック・ワールドのなおのレビュー・感想・評価

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
4.0
"歴史は繰り返す"

ジュラシック・パークシリーズ第4弾。
6500万年の時を超え現代に蘇った、活き活きとした恐竜たちの世界を描く「ダイナソー・アクション・ムービー」が前作『III』の公開から約14年ぶりに大スクリーンに帰ってきた。

「恐竜たちの姿を描くパニックホラー」な娯楽作品的な色は残しつつも、「恐竜たちとの共生」という次なる選択肢が、ジュラシック・パークシリーズを表現する上での新たな要素として加わった印象。

✏️正統続編
前作から約14年ぶりに公開された本作だが、劇中にハモンド博士の名前を冠した施設(研究所)があったり、「ジュラシック・パーク」という存在自体がひとつのタブー、いわくつきの言葉として扱われていることから、リメイクやリブートというわけではない「正統な続編」であることが分かる。

そんな大失敗を過去にやらかし反省したはずの人類だが、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということか。
またしても恐竜たちをビジネス---金儲けの道具として扱ったり、果てには「生物兵器」として利用するという完全な愚の骨頂を犯し始めている。

そんな人類の「愚かさ」を描く一方で、先にも書いた「恐竜との共生」という『無印』~『III』では描かれることのなかった選択肢を採ろうとする人類の姿も本作から描かれる。

今までは「狡猾なハンター」として主人公たちを苦しめてきたラプトルたちが、こうも頼もしく・また愛らしく見えるとは。
描かれ方ひとつで、モノの印象というものは180度変わるものである。

✏️最強vs最凶
そんな人類の私利私欲から生み出されてしまった本作のオリジナル恐竜、インドミナス・レックスが本作最大の敵。
ちなみに、「インドミナス」は劇中では単に「最強」と訳されていたが、本来ラテン語では「獰猛不屈・制御不能」を意味する語であるという。

人工的なDNAの改変によって生み出されたインドミナスは、他の恐竜だけでなく種族も全く異なる他の生物(イカ、カエルなど)の能力と高い知能を併せ持ち、人類が仕掛ける攻撃やトラップを難なくかわし殺戮の限りを尽くす。

「他の生物を楽しんで殺す」という残忍性もあるようで、人類が生み出した負の産物とはいえあまり同情はできない存在。

圧倒的な戦闘能力の前に屈しかけるオーウェンたちだが、そこにまさかの助太刀…!!!
インドミナスとの最終決戦シーンはまさしく「カイジュウ映画」さながらの爽快な大破壊&どちらかが倒れるまで続く恐竜たちの死闘を楽しめる。
あの展開は不覚にも燃えてしまった。

☑️まとめ
本作が公開されたのは、美麗なグラフィックやCG映像は当たり前となってしまった2010年代。
当時としては異例の撮影技術とCG映像で一世を風靡した本シリーズの続編を制作する中で、単なる「娯楽映画」とさせないための苦悩や努力の跡が垣間見られるようだった。

途中のドラマ部分は若干大味な点もあり、かつ「倒されるためだけに生まれてきた」と言ってもいいオリジナル恐竜の存在は、人によっては好き嫌いが分かれそうなところ。

🎬2022年鑑賞数:65(25)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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