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太秦ライムライトのtjZeroのレビュー・感想・評価

太秦ライムライト(2013年製作の映画)
2.6
京都の老舗撮影所。
斬られ役専門の役者として長年時代劇を支えてきた香美山に、寄る年波と時代の趨勢により、刀を置く時期が迫ってくる…。

”しんどい”の二刀流。

まずは、主人公の境遇。
時代劇の製作減により、出番が激減。
現代劇では、そこら辺のエキストラと同じ扱い。
久々の時代劇の現場にも、CG多用の為お呼びが掛からない。
結局、映画村のチャンバラ・ショーで腕前を披露するしかない日常。
撮影所のレジェンドと呼ばれてもおかしくないのに、香美山の不遇が切ない。

第二の”しんどい”は肝心の作品の出来。
主人公に扮するのは、実際に長年斬られ役を務めてきた福本清三さん。
味わいのある顔面のシワ、鋼のような肉体、しなやかな身のこなし…まるで侍か、SWのジェダイが現代にタイム・スリップしたかのような存在感。

ただね~、お芝居の方がちょっと、主役として劇映画を支えるにしては…しんどい。
数々の映画を支えてきた裏方にスポットを…って意図はわかるんだけど、企画にムリがあったのではないか。
しかも、題名からわかるように、あのチャップリンの名作と比べられちゃうわけでしょう。それはやっぱり、しんどい。

この題材だったら、ドキュメンタリーで観たかったなあ。
撮影所の裏側や、福本さんの日々の鍛錬ぶりを淡々と追いながら、合い間に数々の出演作(丹下左膳、仁義なき戦い、ラストサムライなどなど)のハイライトを見せてくれたら、興味深いし、リスペクトの念ももっと湧き上がって来たのになあ、って思う。
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