きんぽうげ

やさしい本泥棒のきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ドイツ側から描いた反戦映画。差別される社会の恐ろしさを描く。共産主義者とユダヤ人。その関係各筋からの迫害。閉ざされた世界だからこそ、余計に強くなる結びつき。共産党員の娘は里子に出される。疲れた夫婦をジェフリーーラッシュ、エミリーーワトソンが実にうまく演じていた。シーンを振り返ってみる。弟が途上、死んで埋葬される。その後 、里親と出会い 、その夫と妻のキャラクターをよく表すセリフ。優しい夫と口汚い妻の印象が、
後々生きてくる。特に軟化していく妻の方。ユダヤ青年を匿って秘密を持つ事 による疎ましさ。学友にも好意的と批判的に分けられる。字を書けなかった事の屈辱感が本を希求する引き金となった黒板の前。町長夫人の意外な側面。焚書の場面での視線は明らかに批判的であった所の意外性を持たせた所。お忍びで本を借りる縁が洗濯物を届ける役目を持った所。密かに書斎に忍び込むスリル。瀕死のユダヤ青年との本を巡る相性。地下室の検査のスリル。夫が徴兵されるきっかけとなった同情の言葉。
ラスト、空襲によって失われた3つの命と救いのユダヤ青年との再会。何よりも死神にナレーションをさせている奇妙な展開90歳まで生き永られた死神の温情。いやあ面白い映画でした。
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