きんぽうげ

ゆれるのきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

ゆれる(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

嫉妬の物語であった。兄弟とそれに絡む女との間。それが、落下に及ぶ死と生前の性の絡みと併せ、見事に完結をしている。
女性監督の作品だから可能であったのかも知れない。感情を表に出す事を良しとする性と逆の存在がある事を思い知らされる。怖いと思えば、一番怖い事であるかもしれない。「俺、あいつ嫌いだよ」と男は、はっきりとはい
言えない。内の感情を押し殺すのを良しとする傾向はありそうである。いや、ある。29歳の女の気持は、どうなんだろうか?効果的だったのは、フラッシュバックで、縺れあうガソリンスタンドでアルバイトを4年もしている男とのシーン。彼女の持つ都会へ出られなかったという悔恨の表れ。弟にしてみるのなら、軽い気持ちで誘ったのであろうが、決定的に兄への嫌悪を露わにさせる引き金になったのは確かで、表面上は何気なくつきあっていても、実際のところはそうでないという、本音と建前が存在していたのである。「触らないでよ!」は相当ひどい言葉である。しかも、それは、ゆれる場所での落下を救うための所作であったとしても、裁判では、加害行為とみなされてしまう。
裁判シーンでも、逆転に次ぐ逆転で、結局は有罪判決が下される。その前における兄弟の面会場面におけるやりとりが迫真をついてる。まさしく、ありえる嫉妬であった。
救いはラストシーンでの互解であろう。兄は微笑んで弟に「これで良かったんだよ」と答えていた。
現実にこういった場面に出くわしたら、どういう態度を取るのだろうか?非常に恐い気はする。ある面でそういう事を避けて来たからこそ、今の自分の生活があるのかも知れない。
きんぽうげ

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