きんぽうげ

17歳のカルテのきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

17歳のカルテ(1999年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

精神病院に入れられたのは、アスピリン1瓶とウォッカ1本を一晩で飲み、瀕死の身体になったのを自殺捉えられ、その説明が、うまく表現出来なかったためだ。
訳がわからないと精神障害とされる。
反社会的行為に走りやすい時期でもある。時代は70年代、反体制という言葉が流行り出していた頃だ。いや、その後だ。一般社会とは隔離され、異なったタイプの精神障害を持った人間が蠢く空間に投げ出される。
当然、違和感があり、どのようにして、その空間に馴染んでいくかは、障害のない空間でも同様の事だろう。
大きな要素となるのは相性である。組み合わせというもの。
考えてみれば精神病というのは、ある感情の一面が突出してしまったものの括りである。余計に摩擦が多いに決まっている。
後で明かされるが、退院の条件は「自覚」ということになるらしい。ここに、病院の体質の批判も加わっているのかとも、思わせるが、物語は個と個のぶつかり合いの方に重きを置いていた。ここに憧れという言葉を持ってくるのは誤りであるかもしれないが、自分にはないものを求める行動は、誰しも、健常者であっても起こす事ではないか。8年もの長い間、病院にいるサラはスザンナにとってそういう存在だった。主従関係が生まれる要因は、相手の気持ちを無視し、あるいはコントロールする事の出来る立場か。二人が脱走を試み、「自覚」し、退院した元患者の家へ転がり込んだ時に事件は起こる。こういった類の病院で一番恐いのが自殺であろう。思いつめたあげくの結論。これでサラに関わった2人めの自殺、なんとも言い難いものがある。立場の逆転的シーン見ものであった。強いサラを本人も自覚していたが、結局は弱い人間であったということ。崩れ落ちる。
ウィノナーライダーが自己の経験もし、製作にも乗り出した本作。アンジェリーナージョリーとも若々しき頃の勢いが溢れていた。
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