おらんだ

やさしい本泥棒のおらんだのレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
4.2
第二次世界大戦中のドイツ。ある夫婦(老夫婦)の所に養子として少女リーゼルがやって来る。リーゼルは母親から貰った本を大事にしていたが、彼女は文字を読むことができなかった。

戦時中の物語だが、所謂「戦争物」ではない。「ライフイズビューティフル」がそうでないのと同様に。

全体的には暗めの印象。当時のドイツの情勢の厳しさ、ピリピリとした緊張感が、家族の暮らしやユダヤ人収容シーン、学校の様子から肌に伝わる。

ジェフリー・ラッシュ演じる養父の若干頼りなくも優しく、誰より愛情深い姿、エミリー・ワトソン演じる養母の不器用な家族への接し方に心が温まる。養母は最初、本当に嫌な人間に見える。しかし、中盤以降、本気で主人公を愛しているのだと感じられる描写がいくつもあり、彼女もまた愛情深い人間なのだという事を感じられる。とても良いキャラクター。

最初、読み書きができなかった女の子が、本を読めるようになっていくきっかけ、及び過程が面白い。学ぶ事に対して貪欲で、本来凄く頭が良いのがわかる。

温まるシーンは枚挙に暇が無いので、個人的に一番の見所として挙げるのは転校初日に意地悪な男の子を半殺しにするシーン。素晴らしい。
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