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ハーフネルソンのsinginggizmoのレビュー・感想・評価

ハーフネルソン(2006年製作の映画)
3.7
割と最近はマッチョな印象のライアン・ゴズリングですが、この作品は薬物中毒者の役なんでちょい不健康そうな痩せ型だったのが新鮮。
振り返ると、彼は役に合わせた体型のコントロールが絶妙にうまい俳優なんだと気づく。

不健康そうなひょろひょろ体型から、中肉、健康的な細マッチョ、ゴリゴリマッチョ、ふくよか体型まで役にベストな体型になって役により説得力を与える。
超頑張ってます感ないのに、何気に毎回完璧な役作りをやってのけている。

ドラッグ中毒の若い先生ダンと、ドラッグ売買が蔓延る界隈で暮らす生徒のドレイの交流。
ドラッグが身近にあるから、先生がドラッグに溺れている現場に出くわしてもあまり動揺せず。
むしろお互いに親近感を抱いていく様が、
過剰なドラマはなく淡々と当たり前の日常を断片的に切り取ったような演出で描かれる。

ダンはドレイがドラッグに関わらないように手助けしようとする一方で、どんどん確実にドラッグに溺れていく。
生徒との交流で先生が救われて麻薬中毒から脱する話かと思いきや、全然回復しないしむしろどツボにはまっていってるのが、なんだこの映画ってなった。
インディーズっぽいなー。
好みは分かれそうな映画。

ドラッグに溺れるライアン・ゴズリングの演技は雨の中の寂しげなワンコのような瞳、つい助けたくなるほっとけない表情で心を持っていかれました…。
あの顔はずるいって…。
一見普通の社会人なんだが、実はやるせない孤独感を抱いていて、絶妙なリアリティがある。そんな人多い気がする。

ハーフネルソンってレスリングの首攻めの技らしいのだが、どういう意味が込められているんだろうか。首根っこつかまれて思い通りにいかない人生、けどハーフだからまだ逃げ場や救いはあるという感じかしら。
人生って全部そんなもんな気がする。
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