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カラーパープルのsinginggizmoのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.7
セリーは、とても優しくて強い人だと思った。
あんな酷い虐待、暴力、抑圧のなか耐え抜く忍耐と、人を許せる強さ。
セリーの置かれた環境は正直、絶望して自死を選ぶ人がいてもおかしくない。
そんな環境を甘んじて受け入れ弱いようにみえるが、耐えて生きられるだけで、すごい。
それを支えたのは離れ離れになった妹のネティと、記憶のなかの母の存在。

虐げられることが当たり前すぎて、抵抗して自分の自由を望むことと、その方法を知らなかった彼女だが、ソフィアやシュグという全く違う思考、生き方の女性達と出会い、自由を主張し自分らしく生きていいんだと知って自立していく。
彼女達とのシスターフッドの物語が優しく爽快で良かった。
ソフィアとシュグを見ていたら、自分が堂々としていれば周りの扱いも変わるのだなと、嫌なことは嫌と主張することの大切さがわかる。

ミスターは改心したものの、全てが許されると思うなよと、個人的には釘をさしたい。
セリーが優しくて良かったなお前と。
売れ残りのパンツを買い、しかもパーティーでちゃんと穿いてくるあたり、根がお調子者なんだろうなと憎めない部分はある。
ミスターも女性蔑視は父親に仕込まれたものだろう…その父親もまた。

ミュージカルシーンの歌は、神というワードがよく出てきて、個人的にはそれが雑音になってあまり入り込めなかったような気がする。
神という概念を普段からあまり身近に感じていないもので、共感が難しい。
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