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ヒックとドラゴン 聖地への冒険のtetsuのレビュー・感想・評価

4.8
過去作を予習して、念願の鑑賞。

ドラゴンとバイキングたちが共生する島・バーク島。
世界中からドラゴンを集め、快適な暮らしを提供する人間たちだったが、そんな島の容量は限界を迎えていた。
新天地を目指し、旅をすることにした島のリーダー・ヒックと相棒のドラゴン・トゥースは、彼らの運命を左右する出来事と出会うことになり...。

率直に言うと、個人的なドリームワークス最高傑作でした!

幼い頃から『シュレック』や『マダガスカル』、『カンフーパンダ』シリーズなどを映画館で観て育ってきた僕ですが、昨今『怪盗グルー...』シリーズなどを手掛けるイルミネーションスタジオの台頭で、「倒産直前なのでは」とさえ思っていたドリームワークス。
調べてみると、日本での劇場公開をする際、成績不振になる傾向があり、近年の作品の多くはビデオスルーになっていただけと分かったのですが、なにはともあれ、完結編が映画館で公開されることになって、本当に良かった!

さらには、2作目の公開がなかったことから、オープニングに過去のあらすじが放映されるという神仕様。
日本サイドの手間もあり、海外作品では『レッドクリフpart2』でしか観たことのない珍しい試みでしたが、制作した日本サイドの作品への愛が感じられ、オープニングから少し泣きそうになりました...。

3部作を続けて観ると分かるのは、本シリーズがいかに「テーマを更新しているのか」ということ。
1作目では敵対していた人間とドラゴンが「共生するまで」を描いていましたが、2作目では「共生できない場合」(特に悪役を軸として)を提示する。そして、今作で「共生することが本当に正しいのか」という問いになる。
このように長い期間を経て脚本が練り込まれたシリーズだからこそ、続編が増えるごとに深みがでてくるのも本作の魅力で、今回の完結編を観ると、1作目や2作目の観方さえ変わってしまう気がしました。

また、本作では異性愛や友愛も含めて「本当の愛とは何か?」という問いに答えている部分も印象的でした。
今年は同様のテーマを描いたディズニー・ピクサーの作品『トイ・ストーリー4』が公開されましたが、その問いに少し切ないラストを提示した『トイ・ストーリー4』に比べ、本作では、さらにその先を行く。
キャラクターへの愛着という点では、あちらの方が強かったのは確かですが、予想を超える感動のラストには、涙が止まらなかったです...。

というわけで、ついに9年の時を経て、完結した本作。
正直、そのまとまり具合で言うと、『スター・ウォーズ/エピソード9』より断然上手(うわて)だったように思いますが、過去作を観ておらずとも、ぜひ、劇場で鑑賞してほしい一作でした!!
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