おらんだ

ソロモンの偽証 前篇・事件のおらんだのレビュー・感想・評価

4.6
雪に覆われた中学校の校庭で柏木卓也という生徒の転落死体が発見される。校内に不穏な空気の漂う中、彼の死は殺人によるものであるという告発状が放たれ、更にはそれがマスコミにリークしてしまう。事件の解決にも、真実の追求にも消極的な教師を見限り、一人の少女が校内裁判を行おうと立ち上がる。

一人の生徒の自殺で片付く筈だった事件が一通の告発状により、二転三転し、新たな事件を引き起こす。更に、マスコミの過激な報道により疑惑が疑惑を呼び、事態は混迷を深める。柏木卓也は自殺なのか、殺害されたのか。告発状は誰によって書かれた物なのか。そして、なぜマスコミに漏れてしまったのか。
前編では、謎をバラまくだけバラまいてグイグイ惹き付けておいて、学校裁判を行う事だけ決定し後編に繋げる。

この映画の最大の魅力は、俳優の演技だと思う。脇の脇まで実力派の俳優を揃えており、時間の経過に比例してどんどんストーリーに引き込まれる。

やはり、注目なのは主役の藤野涼子を演じる藤野涼子(役名と芸名が同じ。本名不詳)。事件の真実を知る覚悟を決めてからの彼女は、研ぎ澄まされた異様な空気を放っており、観ていてプレッシャーを感じる。気迫が凄い。
もう一人は、清水尋也。「渇き。」に「ボク」役で出演しており、その時はいじめられっ子役だったのだが、今作では極悪非道のいじめっ子を演じている。そして、真逆の役を演じているにも関わらず、違和感がない。両方本物っぽい。

他にも、黒木華、松重豊、小日向文世、木下ほうか等素晴らしすぎるバイプレイヤーが勢ぞろい。一際異彩を放つのが市川実和子。めっっちゃ怖かった。

裁判を契機に次第にみんな纏まり、具体化していく流れで何故か泣きそうになった。と書くと、安っぽい学園ものみたいで憚られるのだが、謎の感動を得てしまったので書かざるを得ない。
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