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ゴーン・ガールのkoyaのレビュー・感想・評価

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
4.5
作家の北村薫さんが「どんな物語でも松本清張が書けば面白い物語になる」というような事をどこかで言われていました。
この映画は、描きようによっては「犬も食わない夫婦の喧嘩話」です。
倦怠期を迎えた夫婦が、離婚を考え始める・・・みたいな。
しかし、脚本、監督・・・149分という長い時間の映画にも拘らず、すばらしい人間洞察と人間関係のきわどい攻防を緊張感をもって、かつ、落ち着いて騒がず描いた秀作です。

ただし、若い人たちの楽しい嬉しい恋愛ではなく、結婚したある夫婦の行く末を描きますから、若い人向け娯楽かどうかはわかりません。
しかし、出合いました、好きになりました、相思相愛になりました、結婚しました、幸せにくらしました・・・その仮面というか綺麗事を見事に覆す夫婦の攻防。結婚とは、お互いを縛りあい、どちらかが支配する世界なのでしょうか。

ミズーリ州のある若い夫婦。
ある日、突然、妻(ロザムンド・パイク)が失踪。
大騒ぎになりますが、夫(ベン・アフレック)は、色々と不利な発見があって妻殺しというレッテルを張られそうになる。
妻は、美人で聡明で、見た目は「完璧」な妻で、実は夫は浮気をしていたなど・・・事実が発覚していく。
マスコミやテレビ、ネットなどが行方不明から妻殺し?という全米が見守るドラマに夢中になり大騒ぎに。さて真相は?

この物語は、ニューヨークで出合った2人が、夫の母が癌の為、出身のミズーリ州に移り住む、ということがベースにあります。
妻の両親はプライドの高い人々でミズーリ州なんて「田舎」に引っ越すなんて・・・とどうも義父母とのぎくしゃくもあります。

また、夫の双子の妹は、妻である義理の姉の事が苦手。
結婚は男女2人だけの問題ではなく、家同士の問題でもあるんですよね。
そして、ミズーリ州には死刑制度がある。妻殺しとなれば死刑・・・そんな事情も説明されますね。

物語は二転三転しますから、目が離せない。
この緊張感、映画ならではの中毒性のある緊張感がたまらない、そんな映画でした。
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