踊る猫

紙の月の踊る猫のレビュー・感想・評価

紙の月(2014年製作の映画)
3.6
これは評価に困る……肝腎の主人公と浮気相手が惹かれあう展開がかなり端折られているので、その後の彼女の横領という行為に至る説得力が弱いのがいただけないかな、と言うところ。とは言え地味でありながら、手堅く横領に転んで行く女性の姿を描いていてそこは好感が持てる。全ては人のためである、それが自分の幸せなのだから……という原理の前で主人公は職業意識を狂わせてしまい、犯行に走る。カネで買ったものが恋愛を含めてニセモノであろうと、それが綺麗であれば良い……いや本来カネが生み出すものなんて本来はその程度のマヤカシに過ぎないのかもしれない、という資本主義社会における「カネ」の価値を見直させるだけの重みを備えた作品であると思う。ただ、繰り返すが序盤が端折り過ぎだし地味に過ぎる。音楽が意外と良いのでこの点数にした。映画に良かれ悪しかれ「純文学」というジャンルを設けるならこういう映画が入るのでは? 怒られるかな。
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