踊る猫

ジゴロ・イン・ニューヨークの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.3
ジョン・タトゥーロという人、なかなかの策士であり才人ではないかと思う。ジゴロを名乗る(?)に相応しいゴージャスさを兼ね備えていながら、それでいてガツガツしたところがこの映画ではそんなに発揮されない(共演しているウディ・アレンの助平ぶりと比べるとますますその「草食」とすら言える淡白な佇まいに惹かれる)。ウディ・アレンから受け継いだ知性と洗練されたセンスを映画に巧みに活かして見せる洒脱なキャラクターを持ち合わせている反面、彼のエピゴーネンというか「縮小再生産」に陥らない堂々とした押し出しを感じさせもする。この映画自体はどこか街の片隅で起こるようなミクロな出来事を90分の映画に盛り込み、かつユダヤ性に関しても言及しようとして無理が祟った印象を受けたのだけれどそれでもこの洒脱さは嫌いになれない。この人はもしかすると「化ける」かもしれないと思った。ウディ・アレンから受け継いだものがもっと彼の中で化学反応を起こせばすごいことになるはず。
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